東京港区六本木 眼科 鴨下眼科クリニック

東京都港区六本木 鴨下眼科クリニック

 

 

円錐角膜

 

 

 鴨下眼科クリニック 眼科 真島行彦

慶應義塾大学医学部 講師(非常勤)

 

 

 

1)症状

 角膜中央部が徐々に円錐状に突出、菲薄化する疾患で、進行性の近視性乱視や不正乱視のために進行性の視力障害を訴え、眼鏡やコンタクトレンズが合わないと訴えて来院することが多い。通常思春期に発症するが、30歳頃には突出の進行が停止することが多い。両眼性に発症することが多いが、進行には左右差をみることもある。アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患やダウン症候群に合併して認められることが多い。突出が強くなり、デスメ膜破裂が生じると前房水が角膜内に入り、局所的な浮腫を生じることがある(急性水症、図7)。

 

2)診断

 細隙灯顕微鏡にて角膜中央部の菲薄化と円錐状の突出を認め(図1)、時に角膜実質深層からデスメ膜付近に数本の線条がみられる。突出部の基底にはフライシャー輪と呼ばれる褐色の色素線がみられるが、これは角膜上皮深層のヘモシデリン沈着である。

 

 

 

 

初期診断は困難なことが多い

 

 円錐角膜の初期は細隙灯顕微鏡にて明らかではないことが多く、初期診断は困難なことがある。原因不明の視力低下を来した場合、小児の場合心因性視力障害など他の疾患と誤診されることも多い。円錐角膜を疑う所見として、

(1) オートレフ値で近視と強い斜乱視がみられた場合である。この場合、レフ値通りの屈折矯正しても視力がでない場合が多く、もしハードコンタクトレンズにて視力が矯正されれば、円錐角膜を考えて良い。

(2)スキアスコープにても瞳孔領に不正な反射がみられる。

(3) 確定診断はフォトケラトスコープ検査等の角膜形状検査が有用で、不正乱視を検出することができる(図2)。

 

  

 

参考文献

三田 真史、真島行彦、山田昌和:他疾患が考えられた初期円錐角膜の6例. 

眼科  39(13):1649-1654, 1997

 

3)治療

(1) ハードコンタクトレンズ

 不正乱視に対してはハードコンタクトレンズ(HCL)による矯正が行われる。当クリニックでは、円錐角膜用に非球面HCLを用い(図3)、中等度場合によっては進行例の症例にもうまく装用させている。HCLを装用した時に強い異物感を訴えHCLの装用が困難な場合や、角膜の突出が進行しHCLの装用が困難な場合でも、ソフトCLとハードCLの組み合わせ(ピギーバック法)により(図4)、視力矯正が可能な場合もある。

 ハードコンタクトレンズを装用することにより、装用中は角膜の突出をある程度抑える効果がある。しかし、装用を中止するとその効果はなくなる。

 

 

1. 鴨下眼科クリニックで扱っている円錐角膜患者用特殊ハードコンタクトレンズ(非球面レンズ)

 

 

 

 

 

 

 

2.ピギーバック法(ソフトCLとハードCLの組み合わせ)(図5

ソフトCLには通常、使いすてコンタクトレンズ、または東レ社製 ブレスオー(サイズはLL)を使用している。後者は使い捨てソフトCLよりも厚いので、より安定して装着可能であるが、消毒のケアーが必要である。

 

 

 

 

円錐角膜用非球面ハードコンタクトレンズ長期装用により角膜形状が改善した症例(図6

 

 

 

 

 

(2) 全層角膜移植術

 突出が進行しコンタクトレンズが装用困難な場合、または突出角膜部分の混濁により視力が矯正されない場合、全層角膜移植術を行う。角膜移植手術の予後は良好である(術後1年目の透明治癒率はほぼ100%)。最近は、特殊CL技術により移植手術に至る症例は減少傾向にある。エキシマレーザによる円錐角膜患者の近視性乱視の治療は禁忌である。

 

(3) 急性水症

 症状の所で述べた急性水症(図7)が生じた場合は、充血等炎症所見があれば、ステロイド点眼薬を短期投与する。基本的には1?3か月で浮腫は徐々に消失するが、帯状のデスメ膜破裂を残し、その部の混濁を残す。炎症がある時に全層角膜移植術を行うと、術後に炎症が強くなる場合があるので行わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2008年10月1日 作成